2023年2月8日

ベスタス、タービンブレードの埋⽴処分を終了する循環型ソリューションを発表

※本プレスリリースは2023年2月8日にデンマーク、オーフスで発表されたプレスリリースの翻訳です。

ベスタスは、エポキシ樹脂を使ったタービンブレードの循環利用を可能にする新たなソリューションを開発しました。ブレード材料の設計・構成変更も必要ありません。CETECイニシアチブの中で新たに発掘された化学技術と、オーリン、ステナ・リサイクリング両社とのパートナーシップの組み合わせによって実現に至ったこの技術は、現在稼働中のブレードにも用いることができます。この方法の場合、エポキシ樹脂を使ったブレードの設計変更も廃棄時の埋立処分も必要ありません。

ベスタスのバイスプレジデント兼サステナビリティ責任者、Lisa Ekstrandは次のように述べています。「風力発電業界ではこれまで、タービンブレード材料を廃棄時に再利用、さらには循環利用するには、新しい設計・製造法が必要だと考えられてきました。これからは、古くなったエポキシ樹脂ベースのブレードを原材料資源と考えることができます。この新技術が広く導入されれば、すでに埋め立て処分されたブレード材料も、現在風力発電所で稼働中のブレード材料も、分解して再利用できます。この新しいソリューションは風力発電業界に新時代の到来を告げるとともに、サーキュラリティ(循環性)の実現に向けたベスタスの取り組みを一層加速させるものです」

タービンブレードは、その材料として使用されるエポキシ樹脂の化学的特性上、再利用は困難とされてきました。エポキシ樹脂は、化学結合が強く、再利用材料への分解が不可能と考えられていたからです。 そこで業界をリードするさまざまな技術者たちが、エポキシ樹脂をもっと処理しやすい別の材料に切り替えるか改良する方法を模索していました。今回のベスタスのソリューションを可能にしたのは、エポキシ樹脂をバージングレードの材料に化学分解する新しい化学プロセスです。タービンブレードの循環型技術を探るために立ち上げられた産学連携プロジェクトCETECのパートナーである、オーフス大学、デンマーク技術研究所(DTI)、オーリンとの共同開発によって誕生しました。

ベスタスの先進構造スペシャリスト、Mie Elholm Birkbakは次のように話しています。「この新たに発掘された化学プロセスは理論上、エポキシ樹脂ベースのタービンブレードを、すでに埋め立てられたものでも稼働中のものでも、次の新しいタービンブレードの原材料資源に転換することができます。この化学プロセスは、幅広く入手可能な化学物質を応用しているため、工業化しやすく、また速やかな規模の拡大が可能です。今回のイノベーションは画期的な産学連携の取り組みであるCETECがあってこそ実現し、ここまでたどり着くことができました」

ベスタスはこれから、北欧のリサイクル事業者大手、ステナ・リサイクリングと世界的エポキシ樹脂メーカー、オーリンの協力による新しいバリューチェーンを通じて、この新しい化学分解プロセスを商業用ソリューションとしてスケールアップさせることを目指します。この新しいソリューションが成熟すれば、現在のそして未来のすべてのエポキシ樹脂ベースのタービンブレードの循環経済が始まります。

オーリンのエポキシシステム・グロース・プラットフォーム担当バイスプレジデント、Verghese Thomas氏は次のように述べています。「オーリンは、画期的エポキシシステムにおけるカスタマー・ソリューション・プロバイダーとして、今後世界で期待される風力発電の大きな拡大をサポートできることを誇りに思います。パートナー企業とともに独自の技術を駆使することによって、分子を元の状態に戻し、風力発電タービンブレードに再利用できる新しいエポキシに転換する技術が完成しました。当社の知識と経験、これまでに蓄積した独自のアセットを今回のパートナーシップに活かし、現在と未来のタービンブレードのための画期的かつ持続可能な材料ソリューションを実現できたことを喜ばしく思います」

ステナ・リサイクリング・デンマークのマネージングディレクター、Henrik Grand Petersen氏は次のように述べています。「今後数年内に、数千基のタービンが運転終了または建替えの時期を迎えますが、これは持続可能性の大きな課題であると同時に、貴重な複合材料資源の入手機会でもあります。欧州を代表するリサイクル事業グループの1社として、私たちには循環経済への移行において中心的役割を果たす使命があります。今回のソリューションは当社にとって、持続可能なソリューションをさらに持続可能に、循環可能にする取り組みに貢献できる大きな機会であり、化学物質の再利用に関して培ってきた知識と経験をこの仕組みに活かす態勢はすでに整っています」

この数10年間、風力発電業界では、風力発電用タービンブレードはエポキシ樹脂を材料に製造されるのが一般的でした。風力発電が成熟した市場の多くでは、初期に設置されたタービンが耐用年数を迎え、今後数年でその数は増加していきます。WindEuropeの試算によると2025年までには、年間およそ2万5,000トンのブレードが耐用年数を迎えます。

新しいソリューションが成熟すれば、ベスタスは再利用ブレード材料を使って新しいタービンブレードを製造することが可能となります。新しいソリューションはまた、将来、エポキシをベースにしたすべての複合材料を原材料資源化し、風力発電分野を超えた幅広い産業の循環経済を後押しする可能性を示唆しています。

 

ベスタス(Vestas)について

ベスタスは、持続可能なエネルギーソリューションに関するエネルギー業界のグローバルパートナーです。世界中で陸上および洋上風力発電機の設計、製造、保守を含めたさまざまなサービスを提供しています。べスタスがこれまで納入した風力発電機は、世界88カ国で合計160GWにのぼり、業界ナンバーワンの納入実績を誇ります。また、業界をリードするスマートデータ機能と、合計140GWの風力発電機へのサービス提供を通じて、データを活用した各種分析、診断、及び新技術開発を行い、業界最高水準の風力発電ソリューションをお届けしています。ベスタスの28,000人を超える従業員は、明るい未来を実現するために、お客様とともに持続可能なエネルギーソリューションを世界中にもたらしています。

ベスタスは日本において、1993年に最初の風力発電機を納入して以降、現在稼働中の風力発電機は合計640MWを超えます。日本法人であるべスタス・ジャパン株式会社は、東京本社と、全国8か所にサイトオフィスを構え、日本における陸上および洋上風力発電機の販売と、稼働中の風力発電機へのメンテナンス等のサービス提供を行っています。

 

報道資料・広報素材に関して

ベスタスに関する報道用の最新の画像や動画は、下記のURLよりダウンロードいただけます。

https://www.vestas.com/en/media/images

 

ベスタスの詳細については、当社ウェブサイトwww.vestas.comの他、以下の各ソーシャルメディアをご参照ください。

 

■オーリンについて

オーリン(Olin Corporation)は化学製品の製造・販売を手掛ける垂直統合された世界的大手であり、米国トップクラスの弾薬メーカーです。塩素、苛性ソーダ、ビニル、エポキシ、塩素化有機物、漂白剤、水素、塩酸などの化学製品を製造しています。ウィンチェスター部門の主力製造施設ではスポーツ弾薬、警察用弾薬、再装填用装置、小口径軍用弾薬および関連装置、業務用カートリッジを製造しています。詳しくは、公式ウェブサイト(www.olin.com)をご覧ください。

 

■ステナ・リサイクリングについて

ステナ・リサイクリング(Stena Recycling)はリサイクルおよび効率的資源管理に関する各種サービスや総合ソリューションを提供し、循環経済への移行において重要かつ中心的役割を果たしています。8つの市場に3,000名を超える熱意ある従業員と178の施設を擁し、幅広い産業にまたがる10万以上の顧客から回収した年間約600万トンの廃棄製品および耐用年数切れ製品のリサイクルを行っています。鉄類および非鉄金属、プラスチック、紙類を含む再利用原料は新しい製品の原材料として再び販売されます。現在はスウェーデン、デンマーク、ノルウェー、フィンランド、ポーランド、イタリア、ドイツ、米国で事業を展開しています。ステナ・リサイクリングはステナ・メタル・グループ(Stena Metall Group)の一員です。詳しくは、公式ウェブサイト(www.stenarecycling.com)をご覧ください。

 

■デンマーク技術研究所について

デンマーク技術研究所(Danish Technological Institute: DTI)は、独立系研究開発機関です。将来に大きな影響を与える技術知識を形にすることによって、持続可能で優れた競争力を提供しています。世界65カ国に1万2,000以上の顧客を抱え、デンマーク国内外の企業や研究機関と密接に協力しながら研究・開発活動を進め、新たなる知見を構築しています。詳しくは、公式ウェブサイト(www.dti.dk)をご覧になるか、プロジェクトマネージャー宛(Søren Haack、sorh@dti.dk)にお問い合わせください。

 

■オーフス大学について

オーフス大学は、グローバル志向で多彩な学問を追究する研究重視型大学です。複数の主要国際ランキングにおいて、世界全体で1万7,000校を超える大学のうちトップ100に選ばれています。4万人の学生のおよそ12%は120カ国以上から集まった海外留学生です。最新の設備やラボを備え、例えば42ある主要研究センターの一つでは学際的研究が伝統的に重んじられています。世界が直面する複雑なグローバル課題の解決に寄与することを目標に、研究者たちの高度な学術水準と学問領域の垣根を超えた連携力を融合させ、私たちを取り巻く世界と密接に関わりながら新しい視点からの研究と課題の解決に取り組んでいます。詳しくは、公式ウェブサイト(https://www.au.dk/)をご覧ください。

 

■CETECプロジェクトについて

CETEC(Circular Economy for Thermosets Epoxy Composites:熱硬化性エポキシ複合材料の循環経済)イニシアチブは、風力発電業界における循環経済の推進を目的に、2021年5月にオーフス大学、デンマーク技術研究所、オーリン、ベスタスが共同で立ち上げました。イノベーション・ファンド・デンマークから一部資金援助を受けています。CETECイニシアチブはDreamWindイニシアチブを土台にした3カ年プロジェクトです。これまで困難とされてきたエポキシ樹脂の再利用技術問題に取り組みます。古いブレードを新しいブレードの原材料として再利用することによって、ブレードの再利用を推進するだけでなく、幅広い循環経済の実現を目指します。

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